墨場必携:漢詩 夏日即事 武田梅龍
25.6.9 東京都清瀬市
夏日即事 武田梅龍
雨晴薫吹落松筠
翠露斜斜滴葛巾
盡日無言好相對
青山不厭讀書人
25.6.9 東京都清瀬市
雨晴れ薫(くん)吹き 松筠(しようゐん)に落ち
翠露(すゐろ)斜斜(しやしや)として 葛巾(かつきん)に滴る
尽日(じんじつ)無言に好(よ)く相(あひ)対するも
青山(せいざん)は厭はず 読書の人を
25.6.9 東京都清瀬市
薫吹:「薫風」に同じ。夏のさわやかな風。南風。
松筠:松と竹。
翠露:植物の葉を伝う露がその翠を映したさま。
斜斜:「斜」は「散」。雨や雫(しずく)が降りかかるさま。
尽日:一日中。終日。
25.6.10 東京都清瀬市
雨があがり 南風が松や竹に吹きわたり
葉を伝う翠の露がぽつぽつと葛の頭巾に滴る
一日中何も言わずに向き合っていても
青山は読書するだけの人であるこの私をいやがりもしない
25.6.10 東京都清瀬市