比田井天来は、関東大震災で家が倒壊した後、上田に疎開しました。その時に住んでいたおうちを訪ねたのは今から7年前です。上田城の正面口にあった河合邸は、旧上田藩の上級武士にふさわしい、格調高い武家屋敷でした。
屋根のついた立派な門がありました。今、そこへ行くと
あれれ、門はありますが、「草笛」というお蕎麦屋さんになっています。ど、どーしたの? 実は、別所温泉の老舗旅館「花屋」に移築されたのです。「貴賓室 武家屋敷 桜御殿」。
行かなくちゃ♡
上田電鉄別所線の別所温泉駅から歩いてすぐのところにある「花屋」は、大正6年創業の老舗旅館です。ほぼ全館が登録有形文化財指定!というすごい旅館なんですよ。スタッフさんの楽しいブログがあります。
離れがたくさんあって、こんな風に、渡り廊下でつながっています。都会から訪ねて行くと、なんだか別世界に来たよう。ここなら武家屋敷が似合うに決まっています。
おっ、いきなりあらわれたのは、玄関です。家老など、高貴の方が訪れたときだけ使われたそう。ほんとに、武家屋敷全部を移築したのですね。
引き戸をあけると、掛け軸のかかった床の間があらわれます。凛としたたたずまい。静謐な空間に、心が洗われるようです。亀田鵬斎の掛け軸がかかっていました。
中に入ると、取次の間をぬけ、壱の間、そしてお座敷へ。障子の形が今と違います。おこたが嬉しい。天来はここに泊まっていたんだなあ、と考えると、なんだかぞくぞくしちゃいます。ちなみにここには、ロシアの文豪トルストイのお嬢さん、アレクサンドラ・トルスタヤも逗留したそうです。すごいおうちだったのです!
露天風呂がついています。雰囲気の良い景色を見ながら、のんびりとお湯につかるって、最高です。
ゆったりとお庭を眺められる広い廊下は、ぴかぴかに磨き込まれていました。後ろが露天風呂、正面は現代的で快適なトイレです。
中央やや右の上の方に、何やら細長い板が。
横向きにすると
わっ、壁が扉に変わっちゃいました。隠し部屋。お殿様が来訪なさったとき、家来がここに隠れていたに違いない。こういうの、欲しい♡
タオルも可愛い♫ そして、ご飯だご飯だ。
最初は食前酒の梅酒でかんぱーい。右の写真、真澄あらばしりはその次に飲むお酒です。
前菜その一はごま豆腐。彩どりも美しくて美味しい。
前菜その二は豪華版。左上はたらの白子ポン酢、右は美しいぷちぷちのイクラ。手前はえびと柔らか〜いあわびと干し柿と銀杏と、左の木の葉型の大根の下にはからすみです。料理長のお手製だそう。市販品のようにしまってないのです。
お刺身は関アジとひらめ、アワビとマグロ(中トロ)、エビ(緑色のたまごつき)とウニ。ツマの飾り切りも凝っています。新鮮で美味。手前のお醤油は、お味噌の上澄みだそう。風味がよいです。
このあと、しゃぶしゃぶだったのですが、
ほぼ終わりの写真しかない(泣く)。美味しかったことが実証されたわけですわ。
お部屋の片隅では、小さいお釜でご飯を炊いています。(食べられるかなあ)
焼き物も豪華です。伊勢海老に牡蠣、柿の器に入ったなます(大根とお魚だったかな)。すだちを絞っていい香り。
こっくりした煮物には、フカヒレが入っています。とろーり餡が美味しい。
ご飯が炊けました。桜えびご飯で、おこげもあるそうですが、無理っ(涙)。そうしたら
すごいことに、おにぎりにしてくれました。幸せ。ご飯が終わっても飲める(なんなんだか)。
デザート。そして
かんぱーい。まだまだ飲むぞっ。四合瓶が3本あいたわけでございます。
翌日は、信州の鎌倉、別所の街をお散歩です。ここは北向観音。
途中にあった「山本宣治、高倉テル、齋藤房雄の記念碑」。
安楽寺の八角三重塔は国宝です。すばらしいですね。
エキゾチックな仏様が並んでいます。この先にあるのは
常楽寺の石造多宝塔は重要文化財です。ここはほかの二つのお寺ほど有名でないせいか、人があまりいません。私のお気に入りの場所になりました。
そして、別所線に乗って
この車両、どこかで見たことありません?
最後は上田城です。北の櫓に比田井天来の作品「難攻不落処」があるのですが、12月1日から休館で見られませんでした。かわりにといっちゃあなんですが、
八十二銀行上田支店に天来の碑があったはず、と探してみたら、ありました。「黒沢翁紀功碑」です。八十二銀行の前身、第十九銀行の発起人の一人で初代頭取をつとめた黒沢鷹次郎の頌徳碑。お近くにおいでの際は、ぜひぜひご覧ください。
というわけで、長〜〜〜いブログを最後までご覧くださり、ありがとうございました。