2013年7月11日

孔宙碑 テキストシリーズの新刊

孔宙碑_表紙s.jpg
漢代の隷書の中で、「孔宙碑」は評判の高いものですが、習いたくても適当なお手本がみつかりません。
「名品叢刊」や「書品」、「書苑」では出ているのですが、そう簡単に手に入りませんね。
テキストシリーズ 孔宙碑





実はこの「孔宙碑」、石面が傷んでいて、臨書しにくいのです。
ならば、すべての文字に骨書? それもたいへんだし・・・。

孔宙碑_P04.jpgで、このようにしました。左下に貼ってあるのは、日下部鳴鶴・比田井天来旧蔵の石印本を縮小したもの。もちろん修正されているので、これをお手本にはできませんが、臨書の参考になります。というのは、この古さたるや、そんじょそこらのものとは違います。

孔宙碑_整本.jpg上は拓本全景(整本)を縮小したもの。ご覧になるとわかるように、下部が欠けています。現在見られる最旧拓でも似たりよったり、かなり見えません。

孔宙碑_碑の下部.jpgこれは二行目の下の部分。拓本の文字は見えないのに、左の縮小本では見えていますね。

孔宙碑_篆額.jpg
孔宙碑の特徴の一つは、篆額のすばらしさ。清時代の名人たちの篆書の原型じゃないかとさえ思わせます。

というわけで、テキストシリーズ61巻目となりました。本日発行、解説は横田恭三先生、定価は1200円+税です。

「一字の飛動せざるはなく、また一字の規矩あらざるはなし」(楊守敬)などと絶賛されたこの碑、左右に大きく跳ね出す波磔の美しさを、心行くまで味わっていただきたいと思います。

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