2013年2月 4日

王羲之展とテレビ番組

書聖 王羲之カタログs.jpg
日曜日に東京国立博物館の「書を芸術にした男 書聖・王羲之」展に行ってきました。





ぽかぽか日和、たくさんの人でにぎわっていました。

東博入り口.jpg東博の入り口です。


王羲之展ポスター平成館.jpg王羲之展は平成館です。

すばらしい内容の展示でした。ただちょっと不思議な現象が・・・。
会場に入ると、壁側のガラスケースに黒山の人だかり。どれどれ? 世説新書。珍しい資料ですね。で、左の独立したガラスケースは誰も見ていない。どれどれ? おお、上野本十七帖ではありませんか! こっちを見ようよ!
さらに、話題の新発見双鉤塡墨『大報帖』には黒山の人だかり。その先にある傑作『喪乱帖』は誰も見ていない。こっちを見ようよ! 書はもちろんのこと、双鉤塡墨の技法だって格段のすばらしさですよ!
といった現象があちこちで見られました。ちょっと展示が不親切なのかな。

でも、東博はもちろん、台東区立書道博物館、五島美術館の宇野雪村コレクション、書芸文化院の春敬記念書道文庫所蔵の法帖の名品がキラ星のごとく並び、王羲之のみならず甲骨文から明清時代までの書道史の名品が展示され、まさに至福の時を味わうことができました。

でも一つだけ不満が・・・。「書を芸術にした男」という根拠がどこにもない!

その日は、NHKテレビで特別番組があったので、帰ってから録画を見ました。
やっぱりか。
つまり、王羲之のすばらしさがまったく伝わってこないのです。(悲しい)
双鉤塡墨の技法を復元していましたが、???。米粒に文字を書く以上の技術をもち、筆力、筆勢を理解する能力がなければ無理です・・・。あんな安易な技法だと思われたくないなー。こちらを参照。

というわけで、悲喜こもごもの一日でしたが、最後に見た図録はすばらしかった! 

書聖 王羲之カタログ.jpg図版がよいことはもちろんですが、巻頭の富田淳氏の論文「王羲之の生涯」が秀逸です。決まりきった王羲之の逸話ではなく、資料をきちんと整理して、怒濤の歴史の中に生きた王羲之の実像を彷彿をよみがえらせています。ホームページで公開してくれないかな、と思ってしまいました。

で、「書を芸術にした男」というキャッチフレーズは、図録のどこにもありません。ということは・・・?

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