2012年5月21日

伏見冲敬先生の「書の歴史」

書の歴史s.jpg
「この本が売れるんですよ」





伏見冲敬先生のそんなことばが、今も耳に残っている。もう30年以上前だ。
「入院したとき、暇だから書いた本なんですけどね」。
さすが、博識の伏見先生! 資料に関しては、ご自分で所有していなくても、どこにあるかちゃんと把握していらっしゃったからこそ実現した企画だ。とはいえ「売れる本」という印象が深かった記憶がある。

訂正原本S.jpgこれは、比田井南谷が持っていたもの。伏見先生とは親しかったから、訂正箇所を見つけると書き込んでいたらしい。
「売れる本」は偉大だ。

というわけで、このたび、愛弟子、筒井茂徳先生の献身的なご努力により、新訂版が出ました。

書の歴史.jpg伏見先生にとっては、学会に打って出るような学術論文ではないし、当たり前の内容だったのかもしれませんが、解説も図版も行き届いた編集で、何か知りたいなと思った時、絶対役に立つ本です。
初版当時には知られていなかった新出土品については、20ページ増補されるなど、心のこもった編集。ぜひともご注目ください。

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