2009年9月15日

臨書について・第三回天来祭りへのお誘い

桑鳩臨朱s.jpg
第三回天来祭りが近づいてきました。
シンポジウム参加者は定員を超えましたが、机なし・椅子だけの席を増やせばまだ大丈夫。
そこで、急遽、ブログを見てくださる方に、参加のお誘いがてら、臨書のお話を書くことにしました。
(居酒屋探検隊は明日です)


臨書(りんしょ)ということばを知らない方も多いと思います。また、書の学びかたは、先生のお手本を勉強するのだと思っている方も多いと思います。
そんな方のために、まずは臨書入門。

先生のお手本を習うとどうなるでしょう。そりゃー上手になるかもしれませんが、うまくいっても先生止まり。そして生徒がまた先生になり、その連鎖が続き、だんだん下手になります。
では、どーしたらいいのでしょう。
答えは、もっと昔の名人たちのいろんな書を勉強することです。

天来習作帖.jpgこれは比田井天来の臨書集『天来習作帖』の中から抜粋しました。
右上は、今から3000年以上前の「金文」(青銅器の内部に鋳込まれたもの)。それから1000年経った漢時代の「隷書」や、書聖と呼ばれる王羲之(左上)、そして美しい楷書が書かれた唐時代、そして流麗な草書など、ほんとに変化に富んでいますね。これらを勉強してその技法を会得し、自分にしか書けない書を目指すのです!

しかも

雁塔聖教序 原本.jpgこれは比田井天来愛蔵の「雁塔聖教序」です。凛とした細い線です。

天来臨雁塔二種.jpg両方とも、比田井天来の臨書です。右は50歳でとても写実的、左は59歳でのびのびとしていますね。同じ人でも、時代によってこんなに違うんです。

天来の一番弟子は上田桑鳩先生です。今回の「知られざる天来」に、比田井天来が上田桑鳩先生にどんな教育をしたかを載せました。すごいユニークです。
そして、桑鳩先生はどんな臨書を残しているでしょう。

かんちょうき2.jpgこれは空海が書いた「灌頂期」。仏教の儀式である灌頂をほどこした人の名前が書いてあります。

桑鳩臨1.jpg上田桑鳩先生の臨書。右は30歳代から50歳全般に書かれたもので、左は67歳から逝去の69歳の間に書かれた折帖です。独特の解釈が加わり、桑鳩先生ならではの世界が生まれています。
そして、驚いてはいけません。といったって、驚くと思いますが、最晩年、死を目前にしたときに書かれたのが

桑鳩臨朱.jpg失敗した折帖を真っ黒に塗りつぶして、朱の顔料で書かれた臨書です。鮮やかな色彩、ほとぼしる情念。

27日のシンポジウムでは、こんなふうに、書を知らない方にもわかりやすく、天来とその門流の臨書をご紹介します。
その後は、長野県で「天来自然公園」の維持管理をしているみなさん、16名も参加しての懇親会。これからの書の社会的なあり方(!)とか、公園にどんな花を植えようかとか、おそばのおいしいお店とか、いろんな話題で盛り上がる予定です。
シンポジウムは1000円、懇親会は9000円で、著名な作家の書いたはがきサイズの作品が1万円で買えます。

どなたでも参加できます。締切は9月17日。お申し込みはこちらから。

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