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筆墨硯紙
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基礎講座

液体墨の特徴

今では多くの人が使っている液体墨ですが、できたのは百年ほど前。

初期の墨汁は和紙のような吸い込みの強い紙には不向きで、乾きも遅かったそうです。

その後、合成糊剤(合成樹脂)の開発によって、1980年代から作品にも使える高級な液体墨が出回るようになりました。

 

時間をかけて固形墨を磨らなくても、手軽に使える液体墨。

でも、使用する上で、注意しなくてはならない点がいくつかあります。

 

まずは、液体墨の原料です。

①煤(固形墨と同じですが、工業煙カーボンブラックが多い)

②膠か合成糊剤

③乾燥を調整するための調整剤

④香料(固形墨と基本的に同じ)

⑤防腐剤

⑥塩(膠を使う場合)

⑦水

 

ここで注目したいのが、②の「膠」と「合成糊剤」。

膠を使った液体墨と合成糊剤を使った液体墨は何が違うのでしょう。

 

にかわを使った液体墨

墨ののびがよく、書きやすい。

透明度が高い。

書いた後、乾きにくい。

腐敗しやすい。

固形墨との混合は可。

にかわのゲル化(気温15度以下で固まりやすい)と腐敗を防止するために大量の塩が入っているので、筆を傷めたり、表具のときに墨が散ったりする。

 

合成糊剤を使った液体墨

墨の伸びが悪く、書きにくい傾向にある。

透明度が少々劣る。

乾きやすい。

腐敗しにくい。

固形墨との混合は不可。

いったん乾くと固まってほぐしにくくなる。

 

需要に応え、メーカーでは研究を重ね、質のよい、高級墨液が開発されています。

 

 

は天然膠を使った高級液体墨。

は、固形墨を微粉末にし、ていねいに練り直して液体にしたものです。

 

天来書院の筆墨硯紙サイトの液体墨のページでは、膠を使ったものか合成糊剤かわかるようになっています。

それぞれの特徴を知り、作品作りにお役立てください。