上野・不忍池の蓮は見頃ですが、夕暮れさしかかるこの時間は花も閉じています。
日は傾くも酷暑は去らず、かげろうの立つ中、どうにか東京都美術館にたどり着きました。
『第62回 書宗院展』
桑原翠邦を創立者とし、古典臨書を重んじる伝統ある会の社中展です。
端正で風雅な臨書の世界にひたれば、いっときの涼を得ることができます。
とてもすべては掲載し切れませんので、一部のみでご容赦願います。
そしてもうひとつの見所は、特別展示『川谷尚亭遺墨展』。
格調高く律動的で、今でもまったく色褪せることのない魅力があり、不動の人気を誇ります。
明治生まれの尚亭は47歳の若さで他界しましたが、その一生を書学に捧げ、比田井天来など多くの書家とも親交を持ちました。
これほど多くの尚亭の作品を一度に見られる機会はなかなかありません。
(※本来は撮影禁止ゾーンですが、特別に許可を頂いて撮影しております)
この日は揮毫会もあり、多くの来場者があったようです。
閉館間近ではありましたが、熱心な鑑賞者がまだ残っていました。
尚亭の書論集のなかに、書の「骨力」を養うべしとの一節がありました。
古人の書に挑んでは幾度も打ちのめされ、そうしているうちに自然と備わってくるもの、なのだそうです・・・頭でわかろうとしても難しいですね。
ただ、尚亭の多彩な作品群を見れば、それらに通底するものが感じられます。これがきっと「骨力」なのだろうと思いました。
この展覧会は8月12日(日)まで開かれています。
また、8月10日(金)11:40〜12:30、都美術館講堂にて「川谷尚亭パネルディスカッション」が行われます。こちらも注目です。
詳しくはこちらにてご確認ください。(→書宗院webサイト)
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