なぜなんだろう

不思議に思うことの種も、悩みの種に負けないくらいに多く、種によっては何十年と疑問に思い続けているものもあります。

そうした種の1つが、「なぜお酒を飲むのだろう?」。当然、誰のことでもなく、自分自身についてのことであり、いい歳にをしてそんなことも分からないなんて、情けないといえば情けない話ではあるのですが。
おいしいお酒に、おいしい料理、だからお酒はやめられない、とでも言えればいいのですが、お酒といっても高くていいお酒はとんと飲む気も無ければ、飲む甲斐性もありません。飲むのは主に日本酒で、それも安ければ安いほどよく、お銚子一本180円ならベスト、高くても250円といった具合です。肴も夏ならキュウリにミョウガを和えた塩もみ、それにゲソワサで十分です。できればたまにはヤキトンの2本もあればもう最高です。


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こんな調子ですから、飲む場所には困らないかといえばそうでもなく、人並みにシチュエーションには拘るのかなと思いつつ、今夕も長年の疑問を解明すべく、一軒の飲み屋さんの暖簾をくぐりました。
店主に促されるまま、入り口近くの席に座り、テーブルに置かれたお品書きをながめ、ふと顔を上げれば、まだほんのりと明るい時刻。向かいのお店の商品ケースの灯りも夕方の光のなかで、ひっそりと所在なげに路面を幽かに照らしていました。
温めのお燗が、ほうれん草のおひたしと一緒に運ばれてきて、「お~」と心でつぶやき、お銚子から盃へ、盃から咽へとお酒が流し込まれるころ、外の光は淡いグレーから、何か忘れ物をした1日を終わらせるように、深い青へと変わっていきました。
外を行き交う人の流れを眺め、「あの自転車は誰のなんだろう」などと考えているころにはお銚子も2本目がもう少しで空に。忘れ物なんてどうでもよくなったのか、外の光も青からくすんだ黒へ、歩く人の姿も店からこぼれる灯りが頼りといった時間になっていました。「あっ、いつのまにか向かいのお店のシャッターが降りている。油断したなあ~」などと考えている間に、すっかりもう夜となっていました。行き交う人もまばらになり、「忘れ物はたぶん明日また、探す素振りでいいのかな~」 などと思いめぐらすころ、「へい、お待ち」の声にふと後ろを振り返れば、お酒を飲む理由が分かったような分からないような気分になっている自分がお店の奥に見えるようでした。
まあ~こんな感じでいつもお酒を飲んでいます。だから多分答えは見つからないんだろうな~とも思っています。

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