さくらさくら

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 筆者の所属する放送局の合唱団のコンサートで日本の歌「さくらさくら」を独唱することになった(ドイツ、ケルン市にて)。

 一連の教育的活動の一環として子供むけのコンサートが行われ、収録された音はラジオ番組で流されることになっている。今回の企画は「歌は世界をめぐり」という題で、世界各国の歌が紹介され、さらにいろいろな国籍のメンバーが自分の国の歌を歌うという趣向である。

RIMG0038.JPG コンサートではステージの上で、仮想の「旅行社」をやっている「プルム教授」なるコミカルな人物と、ドイツ語と日本語を織り交ぜた珍妙な会話が行われ、そこで歌の内容などの説明を子供むけにする予定だ。

 本番にならないと、どうなるかわからないが、筆者がこの歌について紹介したいと思っていることは次のようなことである。

 まず桜の咲く時期が三月末から四月にかけてということ。またお花見の様子。桜の下で宴をはり、食べ、飲み、かつ歌うこと。

 「かすみか くもか」と言うように、満開の桜を遠くから見ると白くぼんやりと見えること。

 

 さらに日本では一年間の大きな切れ目が四月であり、学校も会社も四月に始まり三月に終わること(ドイツの学校は九月に始まる)。だから桜は日本人にとって「始まり」、「出会い」を表すと同時に「終り」、「別れ」を意味すること。

 また桜は長く咲かず、一晩の風で散ってしまうこともあること。だから「はかなさ」が表わされていること。そして命が短くはかないがゆえに、より美しいと感じること(そのような日本の美意識)。

 

 日本人の歌手として外国でこれを歌うからには、どうしても上手くやりたいと、張り切ってしまう。欲が出てくるのは人情であるが、はやる気持ちを抑えて、そうじゃいけない、聴く人の目に、遠い国の桜の情景が浮かぶような、そんな歌を歌いたいと思っている。そのために一番大切なのは歌い手自身がその情景をありありと頭に描くことだろう。

 

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