レーズン番外編

 前にレーズンによる瞑想について2回書きましたが、今回はおいしい組み合わせを紹介しましょう!

 

ワインと合わせておいしいものの代表はチーズだと思いますが、お気に入りのワインを開け、数種類のチーズを並べ、パンとバターをちょっと添えると、やはり幸せのひと時となります。

さあ、そこでそれらの合間に、ぜひ生(なま)の葡萄(ぶどう)を何粒か口に入れてください。甘酸っぱい味がチーズを抜群に引き立てます。これは是非お薦めです。ワイン、チーズ、葡萄の三角形のなかを彷徨するうちに愉悦の世界に沈んで行きます。これはヨーロッパではよくやる組み合わせのようです。ドイツでもパーティでサイコロ状に切ったチーズと葡萄を交互に串に刺して飾ったりします。

 

 さて、これでも充分ですが、ここはもうひとひねりをしたいところです。そして発見したのが「レーズン!」です。上記の組み合わせに干し葡萄を仲間入りさせてください。干し葡萄はさらに濃縮された甘さとほのかな酸味、そして日なた臭いような独得の香りあります。これがまたチーズに合います。塩辛い強いチーズを口に含みそれが消えかかったところにレーズンを突っ込むのです。

 

 

 

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葡萄 → 自然そのものの味 (品種、栽培は人工的ですが)

レーズン → 干されて凝縮された味 (生育時と乾燥時で二重に太陽の恵みを受けてい

                  る)

ワイン → 微生物による発酵の味 

 

ここでは同じ葡萄からくる三世代の味を楽しむわけです。葡萄としての「共通性」がまず前提として基本にあり、その上でのお互いの「差異、変化」を楽しむのです。

 

ここで思い出されるのは音楽のこと。そうそう、「変奏曲」(ヴァリエーション)のことです。ひとつのテーマ(メロディ)が示され、それを音楽的にいろいろ変化させた変奏が続きます。私はこの曲種が大好き。共通性、同一性を保ちながら、多様に変化するというのは、なんという芸術的感興でしょう。上記の組み合わせは、さながら「葡萄の主題による変奏曲」。

 

 

 

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   この葡萄大会の土俵を提供するチーズは、ほとんど主役のように振舞います。豊かな脂肪、しっかりした塩味、カビも含めた複雑な芳香をもって、名優のように。

 ここでは数種のチーズの組み合わせをお薦めしているので、「チーズの主題による変奏曲」です。チーズも数種類組み合わせると単独とは比べ物にならないほどおいしいです。

 穏やかなオランダのチーズ。スイスなどの山チーズの力強い熟成された味。白カビの衣に覆われ中身はトロリと柔らかいフランスもの。同じフランスでも、青色や黄色、オレンジ色のカビがついて、表面はぬめぬめして、ぐしゅぐしゅに崩壊しつつ強烈な匂いを放つチーズ。いろいろあります。それらをAからB、BからCへと適当な順番で回して食べる合間に「葡萄御三家」を楽しむわけです。

 

最後に参考情報。あくまでも私の場合ですので、読者はご自分の好みの組み合わせを開拓してください。そして教えてください。

1.ワインは赤の辛口がいいようです。甘いものでは葡萄を楽しめなくなりそうです。

2.生の葡萄はマスカットのような明るい緑のものにしてます。

3.レーズンは黒くて艶々、粒の立派なもの。乾燥しすぎてカチカチになっていないもの。ふっくらとやわらかく、ジュ-シーさを感じるぐらいのもの。贅沢な注文かな。

4.パンはフランスパンのような引きの強いもの。香りの良いもの。バターは発酵バター。

5.さらに合いの手として、ナッツ類をいただいてもおいしいです。ピーナッツ、カシュナッツ、胡桃(くるみ)、アーモンド・・・。(「ナッツ変奏曲」もいいな!)

 

(終り)

 

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