舞岡八幡宮 名残(なごり)の桜 〈神に逅(あ)う 十日 その1〉

2017年4月16日

舞岡八幡宮例祭 湯花神楽(まいおかはちまんぐうれいさい  ゆばなかぐら)1 

 

 

  寒い三月のお蔭で例年よりは遅かったとはいえ、

  街に咲く桜がおおかた終わる四月半ば。

  ここは横浜戸塚区の少し奥まった舞岡の里です。

 

戸塚区舞岡

 

  JRの戸塚駅前を東西に走る 賑やかな大きな道路が昔の東海道。

  今も交通量の多い、この付近の幹線道路です。

  その東海道からほんのわずか南に逸れたところに、すぐ現れる里山。

 

 

 薄色の桜がまだちらほらとやさしく覗く山の木々には 春の気がめぐり、

        緑のおもてに暖かげなパステルカラーが添ってまいりました。

 残りの桜や花桃が咲く山里は静かで、時々鳥のさえずりが聞こえます。

 東海道から車で3分も掛からない場所とは信じられないのどけさです。

 

 

  四月十五日は舞岡八幡宮の例祭です。

  参道の鳥居の前に、一対の幟(のぼり)が立ち、時折、お囃子の調音でしょうか、

  鳥の声の中に、笛や太鼓の短い音が混じります。

 

 

  参道をゆくと、神殿に昇る石段の足許に、控えの場所があって、

  神事の一行の出座の刻限を待つ 笛、太鼓。

  しみじみとした、良い音色です。

 

  石段の登り口の鳥居の右に 若葉の青い大島桜、左に若葉の紅い山桜。

  名残(なごり)の桜に 過ぎてゆく春の歩みが実感されます。

 

 

     石段を登ると御前の狛犬。

     神殿に向かって右の狛犬さん、前足の下にも小さな犬がいます。

 

 

        境内には神さびた大銀杏。

 

 

   今日は一年に一度の「湯花神事」の日に当たり、神の庭で大きな釜に湯を煮立て、

   昔はその気泡の立ち方で吉凶を占いました。

   儀式の後には御神楽(かぐら)の奉納があります。

 

   やや強い風の渡る境内は、時折名残の桜の花びらが風に混じり、

   お社に快晴の木漏れ日が輝いています。  

 

 

  そして午後2時、時が成り、

 

 

  雅楽の奏者を先頭に、行列が参道の鳥居から神殿に昇ります。

 

 

 

    神事が始まります。(次の回に続く)

 

 

 

       桜花 咲きかも散ると 見るまでに

       誰かも此処に 見えて散り行く

 

       桜花 開哉散 及見 誰此 所見散行

 

                『万葉集』巻第十二 3129 詠み人知らず

 

  (さくらばな  さきかもちるとみるまでに  たれかもここに  みえてちりゆく)

   桜の花が咲いては散るのかと見まがうほどに、

   ここに集っては散ってゆくのは どこの誰なのだろう。

 

 

 

カテゴリー :
神に逅う十日