2010年10月14日

墨場必携:漢詩 漢文



6野原空.jpg
                                          22.10.6 東京都清瀬市

  宿建徳江[けんとくこうにやどる] 孟浩然

    移舟泊烟渚
    日暮客愁新
    野曠天低樹
    江清月近人

      舟を移して烟渚に泊せば、
      日暮れて客愁新たなり。
      野は曠く天[そら]樹に低[た]れ、
      江は清く月人に近し。


  古朗月行[こらうげつかう]抜粋   李白 盛唐

    小時不識月
    呼作白玉盤
    又疑瑤台鏡
    飛在碧雲端

      小時(せうじ)月を識(し)らず、
      呼んで白玉(はくぎよく)の盤と作(な)す。
      又た疑ふ瑤台(えうだい)の鏡の、
      飛んで碧雲(へきうん)の端に在るかと。

         
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                                         22.10.3 埼玉県所沢市

  江楼書感[こうろうにてかんあり]  趙嘏 晩唐

    独上江楼思渺然
    月光如水水連天
    同来翫月人何處
    風景依稀似去年

      独り江楼に上りて思ひ渺然、
      月光水の如く、水天に連る。
      同じく来りて月を翫ぶの人何れの処ぞ、
      風景依稀[いき]として去年に似たり。


  清夜吟[せいやのぎん]  邵雍 北宋

    月到天心処
    風来水面時
    一般清意味
    料得少人知

      月天心に到る処[ところ]
      風水面に来たる時
      一般清意味[いっぱんせいいみ]
      料[はか]り得たり人の知ること少[まれ]なるを

          
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                                          22.10.6 東京都清瀬市

  旅懐[りよかい]  杜荀鶴 晩唐
 
    月華星彩坐来収
    嶽色江声暗結愁
    半夜燈前十年事
    一時和雨到心頭

      月華[げつくわ]星彩[せいさい]坐来[ざらい]収まる
      嶽色[がくしよく]江声[かうせい]暗に愁ひを結ぶ
      半夜[はんや]燈前[とうぜん]十年の事
      一時雨に和して心頭に到る

         
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                                           22.9.7 東京都清瀬市

  江月[かうげつ]  亀田鵬斎 江戸

    満江明月満天秋
    一色江天万里流
    半夜酒醒人不見
    霜風蕭瑟荻蘆洲

      満江[まんかう]の明月満天の秋
      一色の江天[かうてん]万里[ばんり]の流[ながれ]
      半夜[はんや]酒醒め人見えず
      霜風[さうふう]蕭瑟[せうしつ]たり荻蘆[てきろ]の洲[しう]

      蕭瑟:秋風の吹くさま。もの淋しい音の形容に用いられる表現
      荻蘆:おぎとあし
 
          
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                                          22.10.11 東京都清瀬市


【文例】 和歌

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