2010年8月23日

墨場必携:散文

     
8夏花.jpg                                        22.8.8 東京都清瀬市

   からりと晴れた日だ。土が光って、陽に夏のにおいがしてる。
                         「巷間享保図絵」林不忘

     
14コスモス.jpg                                        22.8.14 東京都清瀬市

    ----ことにその年の夏が一きわ花やかで美しかっただけ、それだけその
   季節の過ぎてからの何とも言えぬ佗(わ)びしさのようなものが、いわば
   凋落の感じのようなものが、僕自身が病後だったせいか、一層ひしひしと
   感じられてならなかったのです
                           「美しい村」堀辰雄


    其処は、その夏の日々、お前が絵を描いているのを眺めながら、私がい
   つも今のように身を横たえていたところだった。あの時には殆んどいつも
   入道雲に遮られていた地平線のあたりには、今は、何処か知らない、遠く
   の山脈までが、真っ白な穂先をなびかせた薄の上を分けながら、その輪廓
   を一つ一つくっきりと見せていた。
                           「風立ちぬ」堀辰雄

      
12揚羽.jpg                                        22.8.12 東京都清瀬市

    彼女はライン河畔の昔の家にいるところを思い浮かべた......。ある祝日
   ......ある美〔うる〕わしい夏の日、窓は開いていた。白い大道の上に太陽
   の光が輝いていた。小鳥のさえずる声が聞こえていた。
             ロマン・ロラン「ジャンクリストフ」豊島与志雄訳

      
8オオヨシキリ.jpg                                        22.8.8 東京都清瀬市

      7月末の大雨の夜以来姿が見えなかったオオヨシキリが帰ってきました。
      嬉しい再会です。


【文例】 訳詩・近現代詩

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