2010年1月18日

墨場必携:訳詩 近現代詩

    
1瑠璃.jpg                                      ルリビタキ 22.1.1 東京都清瀬市


  青い小鳥    川路柳虹

   青い小鳥はどこへゆく、
   青い小鳥はとんでゆく。   
   小鳥のいない籠を手に、    
   チルチル、ミチル、どこへ行く。
   おもひでの国、夜の国、
   そとは小雪もふりしきる。
   花の匂ひのする窓で
   青い小鳥はないていやう。


  鷺の歌    エミイル・ヹルハアレン

   ほのぐらき黄金隠沼[こがねかくれぬ]、
   骨蓬の白くさけるに、
   静かなる鷺の羽風は
   徐[おもむ]ろに影を落しぬ。
 
   水の面[おも]に影は漂ひ、
   広ごりて、ころもに似たり。
   天なるや、鳥の通路[かよひぢ]、
   羽ばたきの音もたえだえ。
 
   漁子[あま]のいと賢[さか]しらに
   清らなる網をうてども、
   空翔る奇[く]しき翼の
   おとなひをゆめだにしらず。
 
   また知らず、日に夜をつぎて
   溝のうち花瓶の底
   鬱憂の網に待つもの
   久方の光に飛ぶを。
              『海潮音』

    
4鷺白.jpg                                      コサギ 22.1.4 東京都清瀬市


  
            八木重吉

   寒い日だ
   山茶花のおおきな木が
   いっぱい花をつけている
   美しく気を張っているらしい



【文例】 唱歌・童謡

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