2009年12月 3日

墨場必携:和歌

         
2紅葉木.jpg                                         21.12.2 東京都清瀬市

 冬期の試験迫りて夜を更かすこと多くなりぬ

  物書けば紙に声あり
  小夜中の幽[かそ]けきこゑのかくはさびしき

  鉛筆の秀[ほ]はも鈍りてたどたどし
  今宵はもはや寝むとこそ思へ
                       植松寿樹『庭燎』

  書
  さむけれど見さしの書[ふみ]もあるものを
  火も皆きえぬ ねよとなるらん
                   大隈言道『大隈言道全集』 

  ねざめせし ちごを夢路にいざなひて
  再びたどる文のやまぐち
                    比田井小琴『をごとのちり』
  ※大正昭和の女流書家比田井小琴は家庭婦人として7人の子供の母でもあった。
   子供を寝かしつけてからがようやく勉強時間に当てられる。深夜まで学書読書
   に勤しみ、かつ起床は日の出より早かったという。
   女性が家庭を持った上で自分のしたいことをしようとすると、本当に闘わなけ
   ればならない相手は社会制度やまして男性などではない。比田井小琴の生活は
   それを見事に示して女性学徒に健全な勇気を与える。

         
21空木.jpg                                         21.11.21 東京都清瀬市


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