2009年10月19日

墨場必携:和歌 万葉集 持統天皇

         
20翡翠あお.jpg                                           21.9.20 東京都清瀬市

    北山につらなる雲の青雲[あをぐも]の
    星離[さか]りゆき月も離[さか]りて
                     『万葉集』161 持統天皇

    さ夜中と夜[よ]は更けぬらし
    雁が音[ね]の聞ゆる空[そら]に月わたる見ゆ 
                     『万葉集』1701 柿本人麿歌集

    ひさかたの天[あま]つみ空に照れる日の
    失せなむ日こそ吾が恋[こひ]止[や]まめ 
                     『万葉集』3004 作者不詳

          
11萩白2.jpg                                           21.9.20 東京都清瀬市

    あまつ星そらにはいかがさだむらむ
    思ひたゆべきけふの暮れかは
                      「玉葉」1634 太皇太后宮小侍従

    くらき夜の山まつ風はさわげとも
    こずゑのそらに星ぞのどけき
                       永福門院
  
   夜泉
    星の影うごくをみれば
    真清水のわくはみぎはの岩間なりけり
                     阪正臣「樅屋詠草」『樅屋全集』三



    片ぞらに雲はあつまり片空に月冴ゆ
    野分地にながれたり
                若山牧水「海の声」

    野分すぎ労れし空の静けさに
    心凪ぎゐぬ別れし日ごろ
                若山牧水「海の声」

    秋晴や空にはたえず遠白き
    雲の生れて風ある日なり
                若山牧水「海の声」


         27姫紫苑.jpg                                           21.9.17 埼玉県所沢市

    執着も煩悩[ぼんなう]もなき世ならばと
    晴れわたる空の星にこと問ふ
                       九条武子『白孔雀』

    まざまざとうつつのわれに立ちかへり
    命いとしむ青空のもと
                       九条武子『白孔雀』

    星満つる今宵の空の深緑
    あさなる星に深さ知られず
                       窪田空穂『鏡葉』

    人中にふとふり仰げば星ぞらにて
    秋の夜祭り安くたのしも
                       木下利玄『太秦の牛祭』

    地球はめぐりけらしも起きて見れば
    澄みつかれたる星々の光
                       木下利玄『富士山へ上る』

【文例】 訳詩・近現代詩

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