2009年7月 1日

墨場必携:和歌

         
ajihit.jpg                                           21.6.30 東京都清瀬市
  五月待つ花橘の香をかげば
  むかしの人の袖の香ぞする
                      『古今和歌集』139

  夏山に鳴くほととぎす 心あらば
  もの思ふ我に声[こゑ]な聞かせそ
                      『古今和歌集』145

  思ひいづる ときはの山のほととぎす
  唐紅[からくれなゐ]の振り出でてぞ鳴く
                      『古今和歌集』148

  ※時鳥は声が大きく、口の中が赤く見えることから、血を吐くほどに
   声を振り絞って鳴くとされた。

  五月雨に物思ひおれば ほととぎす
  夜ふかく鳴きていづち行くらむ
                      『古今和歌集』153 紀友則

  むかしへや今も恋しきほととぎす
  ふるさとにしも鳴きて来つらむ
                      『古今和歌集』163  壬生忠岑


  五月闇[さつきやみ]おぼつかなきに
  ほととぎす鳴くなる声のいとどはるけさ
                     『和漢朗詠集』183 明日香皇子

         
satsukiyami2.jpg                                            21.6.1 東京都清瀬市

  いにしへの野中の清水ぬるけれど
  もとの心を知る人ぞ汲む
                      『古今和歌集』887
                      『古今和歌六帖』2921 むかし逢へる人
                    『後撰和歌集』
  いそのかみふるの野道の草分けて
  清水汲みにはまたも還らむ
                    『古今和歌六帖』2922

  むかしをばかけじとおもへど
  かくばかりあやしく目にもみつなみだかな
                       『栄華物語』藤原為頼

  あるはなきなきはかずそふ世の中に
  あはれ いつまであらんとすらん
                       『栄華物語』小大進

  昔見し妹が墻根[かきね]は荒れにけり
  つばなまじりの菫のみして         『堀河百首』

         
27nohara .jpg                                            21.6.27 東京都清瀬市

【文例】 散文

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