2009年1月 1日

墨場必携:和歌 そらみつ 日本の国は

[琴歌譜]

・正月元日慶歌[むつきつきたちのよみうた]     
 
  そらみつ 日本[やまと]の国は 神[かむ]からか
  在[あ]りが欲しき 国からか 住みが欲しき 
  在りが欲しき国は 蜻蛉州日本[あきつしまやまと]

  蘇良美豆 夜万止乃久尓波 可无可良可
  阿利可保之支 久尓可良可 須美可保之支
  阿利可保之支久尓波 阿伎豆之万也万止

・片降[かたおろし]                

  新[あらた]しき 年の始めに かくしこそ
  千歳[ちとせ]をかねて 楽しきを経[へ]め

  阿良多之支 止之乃波之女尓 可久之己曾
  知止世乎可祢弖 多乃之支乎倍女
     
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                                          20.12.29   東京都清瀬市


[短歌]

・あらたしき年の始[はじめ]の初春の
 今日降る雪のいや重[し]け吉事[よごと]
                  大伴家持『万葉集』4516

・うれしきを何につつまん
 からごろも 袂[たもと]ゆたかに裁[た]てといはましを
              『古今和歌集』865 詠み人知らず

・うれしさを昔は袖につつみけり
 こよひは身にもあまりぬるかな
                    『和漢朗詠集』773

・むらさきのそでをつらねてきたるかな
 春たつことはこれぞうれしき
               赤染衛門 『後拾遺和歌集』14

・しら雪と身はふりぬれど
 あたらしき春にあふこそうれしかりけれ
  ※第3句は「あたらしき(惜らしき)」もったいないの意。
                 素性 『玉葉和歌集』1825

・ときはなる まつのみどりも
  はるくれば いまひとしほの いろまさりけり
                  源宗于『和漢朗詠集』427
    
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                                     松にコサギ 20.12.26   東京都清瀬市

・さし出[いづ]る此の日の本のひかりより
 こまもろこしも春をしるらむ
                        本居宣長

・あづま路にまづ来る春の日のかげを
 雪に待ちとる富士のしば山
                    橘千蔭『うけらが花』

・一月[むつき]たつ今日[けふ]より梅をかざしつつ
 今年も春は花にくらさむ
                     村田春海『琴後集』

・朝日子のひかりまちとる若水[わかみづ]に
 くまばや千世のはるの心を
                     村田春海『琴後集』


【文例】 散文

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