2008年9月15日

墨場必携:和歌 『新古今和歌集』343 曽禰好忠...

[和歌]

・おきて見むと思ひしほどに枯れにけり
 露よりけなる朝顔[あさがほ]の花
           『新古今和歌集』343 曽禰好忠

・白露のおきて見つればほどもなく
 面[おも]がはりする朝がほの花
           『匡房(大江匡房)集』66

・消えぬまの身をもしるしるあさがほの
 つゆとあらそふ世をなげくかな
           『紫式部集』52

・萩の花尾花[をばな]葛花[くずばな]瞿麦[なでしこ]の花
 女郎花[をみなへし]また藤袴[ふじばかま]朝貌[あさがほ]の花
           『万葉集』1538 山上憶良

・はつ秋のはぎのあさがほあさぼらけ
 わかれし人の袖かとぞ思ふ
           『中務集』184

・袖の色も見えやはしけむあさがほの
 ひるはうつろふわかれならぬに
           『中務集』185
◎184・185は贈答歌

・夕[ゆふ]されば野辺の秋萩 末[うれ]若み
 露にそ枯るる秋待ちがてに
           『万葉集』2095 詠み人知らず

・わが屋前[やど]に咲ける秋萩常にあらば
 わが待つ人にみせましものを
           『万葉集』2114 詠み人知らず

・朝霧のたなびく小野[をの]の萩の花
 今か散るらむいまだ飽かなくに
           『万葉集』2118 詠み人知らず

・秋さらば(秋が訪れたら)妹[いも]に見せむと植ゑし萩
 露霜負[お]ひて散りにけるかも
           『万葉集』2127 詠み人知らず

・秋萩に置ける白露朝な朝な
 珠としそ見る 置ける白露
           『万葉集』2168 詠み人知らず

・白露を取らば消[け]ぬべし
 いざ子ども 露に競[きほ]ひて萩の遊びせむ
           『万葉集』2173 詠み人知らず

・わが背子が挿頭[かざし]の萩に置く露を
 さやかに見よと月は照るらし
           『万葉集』2225 詠み人知らず

・秋はぎの古枝[ふるえ]に咲ける花見れば
 本[もと]の心はわすれざりけり
           『古今和歌集』219 凡河内躬恒

・折[を]りて見ば落ちぞしぬべき
 秋萩の枝もたわわにおける白露
           『古今和歌集』223 詠み人知らず

・萩が花散るらむ小野の露霜に
 濡れてを行かん 小夜はふくとも
           『古今和歌集』224 詠み人知らず

・秋萩の咲き散る野辺の夕露に
 濡れつつ来ませ夜はふけぬとも
           『新古今和歌集』333 柿本人麻呂
  
・秋の野の花の露とも知らざりつ
 千種[ちぐさ]の色に置ける白玉
           『公任集』111

・水鳥[みづとり]の青羽[あをば]の色も変はらぬを
 萩のしたこそ気色[けしき]ことなれ
           『源氏物語』若菜上 光源氏の歌




                ダイサギ 20.9.13 東京都清瀬市

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