2008年9月15日

墨場必携:散文 『清少納言枕草子』130段...

[散文]

・九月ばかり、夜一夜降りあかしつる雨の、今朝はやみて、朝日いとけざやかにさし出でたるに、前栽の露こぼるばかりぬれかかりたるも、いとをかし。(中 略)すこし日たけぬれば、萩などのいと重げなるに、露の落つるに枝のうち動きて、人も手ふれぬに、ふとかみざまへあがりたるも、いみじうをかし。といひた ることどもの、人の心にはつゆをかしからじとおもふこそ、またをかしけれ。
                  『清少納言枕草子』130段
◎陰暦九月なので、実際は現行歴10月中旬以降。

・草の花は(中略)鹿鳴草[はぎ]。いと色深う、枝たをやかに咲きたるが、朝露にぬれて、なよなよとひろごり伏したる、さを鹿の、分きて立ちならすらむ(特に好んで近づくらしいの)も、心ことなり(格別の趣がある)。
                  『清少納言枕草子』67段 


                    20.9.12 東京都清瀬市

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