2008年8月15日

墨場必携:和歌 『古今和歌集』168 凡河内躬恒

[和歌]

・夏と秋と行き交ふ空の通ひ路は
 片方[かたへ]涼しき風や吹くらむ
             『古今和歌集』168 凡河内躬恒


・いにしへの野中の清水[しみづ]ぬるけれど
 もとの心を知る人ぞ汲む
             『古今和歌集』887 詠み人知らず

・いそのかみふるの野道の草分けて
 清水[しみづ]汲みにはまたも還[かへ]らむ
             『古今和歌六帖』2922 詠み人知らず

・むすぶ手の滴[しづく]ににごる山の井[ゐ]の
 あかでも人にわかれぬるかな
             『古今和歌集』404 紀貫之


20.8.15 東京都清瀬市柳瀬川

・夏草のうへは繁れるぬま水[みづ]の
 ゆく方[かた]のなきわが心かな
             『古今和歌集』462 壬生忠岑
◎巻十「物名」交野(かたの)の題で詠まれた歌。

・夏の野の繁みに咲ける姫百合の
 知らえぬ恋は苦しきものそ
             『万葉集』1500 大伴坂上郎女
◎この「野」は「ぬ」と発音した模様。「知らえぬ」は「知られぬ」。


20.8.3 東京都清瀬市

・それもがと今朝ひらけたる初花に
 おとらぬ君がにほひをぞ見る
             『源氏物語』賢木 
◎初花はここでは百合の花。
  それが見たいと皆に待ち受けられながら今朝咲いた百合の花、その花にも勝るあなたの美しさに出会ったことです。

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