2008年8月15日

墨場必携:唱歌・童謡 朝顔...

[唱歌・童謡]

・朝顔  文部省唱歌

1 毎朝、毎朝
  咲くあさがほは、
  をととひきのふと、だんだんふえて、
  今朝はしろ四つ、むらさき五つ。

2 大きなつぼみは、あす咲くはなか。
  ちひさなつぼみは、あさつて咲くか。
  早く咲け咲け、
  絞や赤も。
          昭和7年(1932)『新訂尋常小学唱歌 第一学年用』
・夕顔  西条八十

  去年遊んだ砂山で
  去年遊んだ子をおもふ

  わかれる僕は船の上
  送るその子は山の上

  船の姿が消えるまで
  白い帽子を振ってたが

  きょう砂山に来てみれば
  さびしい波の音ばかり

  ふと見渡せば磯かげに
  白い帽子が呼ぶような

  駈けて下りれば 夕顔の
  花がしょんぼり咲いていた
         『赤い鳥』(大正8.9月)所収「夕顔」より一部抜粋



・谷間の姫百合  藤森秀夫

  谷間の谷間の
  姫百合さん
  お機を何反
  織りました。

  谷間の谷間の
  姫百合さん
  小窓を郭公
  飛びました。

  谷間の谷間の
  姫百合さん
  お鈴を目々に
  張りました。
         『童話』(大正10.8月)所収 

・山百合(一部抜粋)  川路 柳虹

  山百合 みつけた 谷間の細道 草分けて
 
  山百合 みつけた お馬車の笛が ぼうと鳴る
  あぶない崕の 下道で

  山百合 みつけた 姉さんかぶりの白い顔
  はづかしさうに うつむいた



・かつぱの子  蕗谷虹児

  河骨[かうほね]の
  金の花咲く
  夏が来て
  しづかに眠る、古沼の

  水[みづ]の底から
  にごるのは
  かつぱのおうちの
  けむりだよ
  おまんまをたく けむりだよ

  鷺菅や
  蒲に穂が出る
  夏がきて
  しづかに眠る 古沼の

  水の面に あぶくが
  浮かぶのは
  かつぱの子供の
  あそびだよ
  しやぼん玉を吹くのだよ

  おもだかの
  銀の花咲く
  夏が来て
  しづかに眠る 古沼の

  くるくる渦は
  独楽[こま]回[まは]し
  水がにはかに
  ゆらぐのは
  かつぱがお角力[すまふ] とるのだよ

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