2008年4月15日

墨場必携:漢文 三月三十日作 白居易...

【文例】

[漢文]

・三月三十日作  白居易 
   今朝三月盡
   寂寞春事畢
   黄鳥漸無聲
   朱櫻新結實
   臨風猶長歎
   此歎意非一
   半百過九年
   艷陽殘一日
   隨年減歡笑
   逐日添衰疾
   且遣花下歌
   送此杯中物
     今朝三月盡き
     寂寞として春事畢[を]はる。
     黄鳥漸[やうや]く声無く
     朱櫻新たに実を結ぶ。
     風に臨みて猶ほ 長歎す、
     此の歎意一つに非ず。
     半百九年を過ぎ、
     艷陽一日を殘す
     年に隨ひて歓笑減じ、
     日を逐ひて衰疾添ふ。
     且[しば]し花下の歌を遣[や]り,
     此の杯中の物を送らん。

・(落花古調詩) 白居易
   留春春不住
   春帰人寂寞
   厭風風不定
   風起花蕭索
     春を留むるに春住[とど]まらず、
     春帰つて人寂寞[せきばく]たり、
     風を厭ふに風定まらず
     風起(た)つて花蕭索[せうさく]たり、


  遠山の桜を眺める蓬心斎先生 20.4.5 狭山丘陵(埼玉県入間市)

・春暁  孟浩然
   春眠不覺曉
   處處聞啼鳥
   夜來風雨聲
   花落知多少
     春眠[しゆんみん]暁[あかつき]を覚[おぼ]えず
     処処[しよしよ]啼鳥[ていてう]を聞く
     夜来[やらい]風雨[ふうう]の声[こゑ]
     花落つること知んぬ 多少[たせう]ぞ


・春望  杜甫
   国破山河在
   城春草木深
   感時花濺涙
   恨別鳥驚心
   烽火連三月
   家書抵万金
   白頭掻更短
   渾欲不勝簪
     国破れて山河在り
     城春にして草木[そうもく]深し
     時に感じては花にも涙を濺[そそ]ぎ
     別れを恨んでは鳥[とり]にも心を驚かす
     烽火三月[さんげつ]に連なり
     家書[かしよ]万金[ばんきん]に抵[あ]たる
     白頭[はくとう]掻けば更に短[みじか]く
     渾[す]べて簪[しん]に勝[た]えざらんと欲す


  濡れた翼を春の陽に乾かす川鵜 20.4.1 東京都清瀬市柳瀬川

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