2008年4月 1日

墨場必携:近現代詩・訳詞「ロンサール詩集」より...

[近現代詩・訳詞]

・「ロンサール詩集」より抜粋 訳 串田孫一

 見事に咲いた花を選び、私の手で
 造った花束をあなたに贈る。
 今宵、誰が摘み取らなくても、
 花は、明日は、地に落ちるでしょう。
 それを見て、よくお考えなさい、
 今を盛りのあなたの美しさも
 まもなく衰え、色あせてしまうことを、
 そして、花のように、たちまち朽ちてしまうことを。

 時は過ぎて行く、時は過ぎて行く、美しい人よ、
 いや、時ではなく、私たちはみんな過ぎ去って行く。


・春の寺  室生犀星

 うつくしきみ寺なり
 み寺にさくられうらん[凌欄]たれば
 うぐひすしたたり
 さくら樹にすずめら交[さか]り
 かんかんと鐘鳴りてすずろなり。
 かんかんと鐘鳴りてさかんなれば
 をとめらひそやかに
 ちちははのなすことをして遊ぶなり。
 門もくれなゐ炎々と
 うつくしきみ寺なり。


・甃[いし]のうへ   三好達治

 あはれ花びらながれ
 をみなごに花びらながれ
 をみなごしめやかに語らひあゆみ
 うららかの跫[あし]音空にながれ
 をりふしに瞳をあげて
 翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
 み寺の甍[いらか]みどりにうるほひ
 廂[ひさし]々に
 風鐸[ふうたく]のすがたしづかなれば
 ひとりなる
 わが身の影をあゆまする甃のうへ


・さくら(第一連抜粋)   片岡文雄

 夜
 さくらは天にむかつて散つていく
 せかいはひとつの網膜で
 はなびらのひとつひとつは
 そのぬるむせかいのはてなさを
 おののくのだ



    とかく食欲の盛んなひたちは、うっかりすると、千切にしておいた
    トンカツ用の生キャベツなんかでももりもり食べていたりします。
    当然のこと、すっかりメタ坊で、胴体はポンポコ。お腹を舐めるのは
    苦しい。

同じカテゴリの記事一覧