2008年3月15日

墨場必携:唱歌・童謡 春の小川...

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[唱歌・童謡]

・春の小川[をがは]  文部省唱歌(高野辰之)

1 春の小川は さらさら流る
  岸のすみれや れんげの花に
  にほひめでたく 色うつくしく
  咲けよ咲けよと ささやく如く

2 春の小川は さらさら流る
  蝦[えび]やめだかや小鮒の群に
  今日も一日 ひなたに出でて
  遊べ遊べと ささやく如く

3 春の小川は さらさら流る
  歌の上手[じやうず]よ いとしき子ども
  声[こゑ]をそろへて 小川の歌を
  うたへうたへと ささやく如く
    『尋常小学唱歌 第四学年用』明治45年(1912)


                20.3.14東京都清瀬市柳瀬川


・朧月夜  文部省唱歌(高野辰之)

1 菜の花畠に 入日薄れ
  見わたす山の端[は] 霞ふかし
  春風そよふく 空を見れば
  夕月かかりて にほひ淡し

2 里わの火影[ほかげ]も 森の色も、
  田中の小路をたどる人も
  蛙[かはづ]のなくねも かねの音も
  さながら霞める朧月夜
    『尋常小学唱歌 第六学年用』大正3年(1914)
◎大正3年の上記の刊行物で見る限り、2番末行は「霞〈め〉る」、口語の形。


                    20.春 東京都清瀬市

・梅に鶯[うぐひす]  文部省唱歌

1 日のよくあたる庭前[にはさき]の
  垣根の梅が咲いてから
  毎朝来ては鶯が
  かはいい声[こゑ]で
   ほうほけきよう

    ニ、
  鳴くのを聞いて 縁側[えんがは]の
  籠の中でも鶯が
  垣根の方を眺めては
  調子[てうし]を合はせて
   ほうほけきよう 
    『新訂尋常小学唱歌 第二学年用』昭和7年(1932)


・ひばり  文部省唱歌

1 ぴいぴいぴいとさへづる雲雀
  さへづりながらどこまであがる
  高い高い 雲の上か
  声[こゑ]は聞こえて見えない雲雀

2 ぴいぴいぴいとさへづる雲雀
  さへづりやんでどこらへ落ちた
  青い青い 麦の中か
  姿かくれて見えない雲雀
    『新訂尋常小学唱歌 第二学年用』昭和7年(1932)


・織り成す錦   作詞者不詳

1 織り成す錦 さくらに すみれ
  いばらに ぼたん 春こそ よけれ
  鶯 ひばり こよ こよ こよと
  ともよびかはし さそへるものを
  われらがともも やなぎのかげに
  あそびて うたへ うたひて あそべ

2 春風ふけば みやまは わらひ
  みぞれや ゆきは ゆめのの かすみ
  ももとり ちどり こよ こよ こよと
  くるるもしらで さえづるものを
  われらがともも やなぎのかげに
  あそびて うたへ うたひて あそべ


・春の唄  野口雨情

1 桜の花の咲く頃は
  うらら うららと 日はうらら
  ガラスの窓さへ みな うらら
  学校の庭[には]さへ みな うらら

2 河原[かはら]で雲雀の鳴く頃は
  うらら うららと 日はうらら
  乳牛舎[ちちや]の牛さへ みな うらら
  鶏舎[とりや]の鶏[とり]さへ みな うらら

3 畑に菜種の咲く頃は
  うらら うららと 日はうらら
  渚の沙[すな]さへ みな うらら
  どなたの顔さへ みな うらら


・あの子のお家   北原白秋

  あの子のお家はどんな家
  野茨が咲いたと言つてゐた
  仔馬もゐるよと言つてゐた

  あの子のお家はどこいらか
  雲雀よ 空から見ておくれ
  よしきり よしきり 行て見よよ




【文例】 みや・ひたち

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