2008年1月 1日

墨場必携:数え歌・遊び歌・唱歌


第25回 1月 明けの春:清新・始まる・かぞえ歌

 

○数え歌も羽根突き、毬つきなどの遊びに歌われた。地方ごとにさまざまな類歌が見られる。

・数へ歌

 一つとや ひと夜明くれば
 にぎやかに にぎやかに
 お飾り立てたり 松飾り 松飾り

 二つとや 二葉(ふたば)の松は
 色ようて 色ようて
 三蓋松(さんがいまつ)は 春日山(かすがやま) 春日山

 三つとや 皆さんこの日は
 楽遊(らくあそ)び 楽遊び
 春さき小窓で 羽根をつく 羽根をつく

 四つとや 吉原女郎衆(よしはらじよろしゆ)は
 手まりつく 手まりつく
 手まりの拍子は おもしろい おもしろい

 五つとや いつも変はらぬ
 年男 年男
 年をばとらずに 嫁をとる 嫁をとる

 六つとや 無病でたたんだ
 玉づさは 玉づさは
 雨風吹いても まだ解けぬ まだ解けぬ

 七つとや 南無阿弥陀仏と
 手を合はせ 手を合はせ
 後生を願へや おぢぢ様 おぢぢ様

 八つとや やはら良い子だ
 器用な子じや 器用な子じや
 おちよで育てた お子じやもの お子じやもの

 九つとや ここへござれや
 あね御さん あね御さん
 足袋や雪駄で じやらじやらと じやらじやらと

 十とや 塔福寺の鐘の音 鐘の音
 今なる鐘は除夜の鐘 除夜の鐘

 

・数へ歌

 一つとや 一夜(ひとよ)明くれば
 にぎやかで にぎやかで
 お飾り立てたる 松飾り 松飾り

 二つとや 二葉の松は
 色ようて 色ようて
 三蓋松(さんがいまつ)は 上総山(かづさやま) 上総山

 三つとや 皆様子供衆(こどもしゆ)は
 楽遊(らくあそ)び 楽遊び
 穴一(あないち)こまどり 羽根をつく 羽根をつく

 四つとや 吉原女郎衆(よしはらじよろしゆ)は
 手まりつく 手まりつく
 手まりの拍子の 面白や 面白や

 五つとや いつも変わらぬ
 年男 年男
 お年もとらぬに 嫁をとる 嫁をとる

 六つとや むりよりたたんだ
 玉だすき 玉だすき
 雨風吹けども まだ解けぬ まだ解けぬ

 七つとや 何よりめでたい
 お酒盛り お酒盛り
 三五に重ねて 祝いましよ 祝いましよ

 八つとや やはらこの子は
 千代の子じや 千代の子じや
 お千代で育てた お子ぢやもの お子ぢやもの

 九つとや ここへござれや
 姉(あね)さんや 姉さんや
 白足袋(しろたび)雪駄(せつた)で ちやらちやらと ちやらちやらと

 十とや 歳神様(としがみさま)の
 お飾りは お飾りは
 橙(だいだい) 九年母(くねんぼ) ほんだはら ほんだはら

 十一とや 十一吉日(きちにち)
 蔵開(くらびら)き 蔵開き
 お蔵を開いて 祝ひましよ 祝ひましよ

 十二とや 十二の神楽(かぐら)を
 舞ひ上げて 舞ひ上げて
 歳神様へ 舞納(まひをさ)め 舞納め

 

・数へ歌

 一つとや 人々一日(ひとひ)も忘るなよ
 はぐくみそだてし おやのおん おやのおん

 二つとや 二つとなき身ぞ山桜 山桜
 ちりてもかをれや きみがため きみがため

 三つとや みどりは一つの幼稚園 幼稚園
 ちぐさに花さけ 秋の野辺 秋の野辺

 四つとや 世にも頼もしきは兄弟ぞ 兄弟ぞ
 たがひにむつびて 世をわたれ 世をわたれ

 五つとや 空事(いつはり)いはぬが幼子の 幼子の
 まなびのはじめぞ よくまもれ よくまもれ

 六つとや 昔をたづねて今を知り 今を知り
 ひらけやとませや わが国を わが国を

 七つとや ななつの宝も何かせん 何かせん
 よき友よき師は 身のたすけ 身のたすけ

 八つとや 養ひそだてよ姫小松 姫子松
 雪にも色ます そのみさを そのみさを

 九つとや 心は玉なり琢(みが)きみよ 琢きみよ
 ひかりはさやけし秋の月 秋の月

 十とや とよはたみはたの朝日かげ 朝日かげ
 いよいよくまなしきみが御代 きみが御代


 

・手まり歌

  無花果(いちじく)  人参(にんじん)
  山椒(さんしょう)に 椎茸(しいたけ)
  牛蒡(ごぼう)に   無患子(むくろじゅ)
  七草(ななくさ)   初茸(はつたけ)
  胡瓜(きゅうり)に  冬瓜(とうがん)

・手まり歌

  一番始めは一の宮
  二また日光中禅寺
  三また佐倉(さくら)の惣五郎(そうごろう)
  四また信濃の善光寺
  五つ出雲の大社(おおやしろ)
  六つ村々鎮守様
  七つ成田の不動様
  八つ大和の法隆寺
  九つ高野の弘法様
  十で東京心願寺

・手まり歌

  一番はじめは一の宮
  二で二宮金次郎(にのみやきんじろう)
  三つ佐倉(さくら)の惣五郎(そうごろう)
  四で信濃(しなの)の善光寺
  五つ出雲(いづも)の大社(おおやしろ)
  六つ昔は田や畑
  七つなんでも ねえあなた
  八つ八幡(やはた)の八幡(はちまん)さん
  九つ高野(こうや)の弘法(こうぼう)さん
  十(とお)で東京二重橋(にじゅうばし)

 


・一月一日   千家尊福

1 年の始めの例[ためし]とて
  終[を]はりなき世のめでたさを
  松竹立てて門ごとに
  祝[いは]ふ今日[けふ]こそ楽しけれ

2 初日の光さしいでて
  四方[よも]に輝く今朝[けさ]の空
  君がみかげに比[たぐ]へつつ
  仰[あふ]ぎ見るこそ尊[たふと]けれ

 

みやとひたち

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