2013年7月27日

墨場必携:漢詩 新蝉 菅原道真


       
0727木立7289.jpg                                           25.7.27 東京都清瀬市

     今年異例腸先断
     不是蝉悲客意悲
                『和漢朗詠集』195
                                  「新蝉」菅原道真『菅家文草』

       
0715蝉5217.jpg                                           25.7.15 東京都清瀬市

    今年(こんねん)は例(つね)よりも異(こと)にして
              腸(はらはた)先(ま)づ断(た)ゆ
    これ蝉(せみ)の悲しぶのみにあらず
              客(かく)の意(こゝろ)も悲しぶなり

   腸先断:副詞「先ず」を挟んで「断腸」。
      「断腸」は腸(はらわた)が千切れるほどの苦しみ。
      もとは子を失った母猿がその悲しみで死に、その体を見ると
      内蔵が千切れていたという故事に拠る。激しい悲しみの比喩に
      腸を断つほどであると使う。
   客:作者自身    

       
0722蝉5253.jpg                                           25.7.15 東京都清瀬市

    今年の蝉の声はいつものよりも悲しく聞こえる。
    蝉の声が特に悲しいのではなく、
        それを聞く私の心が悲しんでいるからなのだろう。

   作者道真が都を離れて讃岐守として辺鄙な讃岐に赴任した年の夏、
   陰暦五月の新蝉を聞いたときの作。

       
0726木々6987.jpg                                           25.7.26 東京都清瀬市


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