2011年10月22日

墨場必携:漢詩 九月十三夜

    
1910231419.jpg                                  陰暦九月十三夜  19.10.23 東京都清瀬市

  陰暦九月十三日は現行暦ではおよそ十月の中旬にあたる。
  陰暦九月十三日の月(十三夜)は別名「後(のち)の月」。仲秋名月の次
  に観賞される月である。古くから詩歌の題材であった。
  宮中の年中行事になっている観月宴は陰暦八月十五夜と、この九月十三夜
  の二回がある。


   九月十三夜  上杉謙信

     霜満軍営秋気清
     数行過雁月三更
     越山併得能州景
     遮莫家郷憶遠征

      霜は軍営に満ちて秋気清し、
      数行(すうかう)の過雁(くわがん)月三更[さんかう)。
      越山併(あは)せ得たり能州の景(けい)、
      遮莫(さもあらばあれ)家郷(かきやう)遠征を憶(おも)ふ。

    
1011鷺8977.jpg                                            23.10.11 東京都清瀬市

     霜は軍営に満ち満ちて秋の気配は清(す)みわたり、
     渡る雁の群は幾行(いくつら)か夜も更けわたる。
     越の山々と能登の地とを併せ得て見たるこの景色よ、
     郷里の家族は出征した身を案じているであろうが、
                          そんなことは気にすまいぞ
                               (北川蓬翁訳)

    1009コスモス8263.jpg                                            23.10.9 東京都清瀬市

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