2011年6月 2日

墨場必携:漢詩 賦郭公

    
0531楓2.jpg                                      楓の花 23.5.31 東京都清瀬市


   賦郭公[郭公(ほととぎす)を賦す]  釈蓮禅

     郭公属夏有佳名
     好事家家嗟嘆成
     *子巢中春刷翅
      見万葉集
      故云
     免花牆外暁傳聲
     汝呼同類孤雲路
     人詠和言五月程
      古今之人多詠和歌
      故曰
     低檐雨滴寂寥夜
     欹枕不堪相待情

        *は上に貝二つを並べた下に鳥

       郭公(ほととぎす)夏に属し佳名(かめい)有り
       好事(かうじ)の家々に嗟嘆成る
       *子(うぐひす)の巣の中 春に翅(つばさ)を刷(つくろ)ひ
        万葉集に見ゆ
        故(ゆゑ)に云ふ
       免花(うのはな)の牆(かき)の外 暁に声を伝ふ
       汝(なれ)は同類(とも)を呼ぶ 孤雲(こうん)の路(みち)
       人は和言(うた)に詠む 五月の程
        古今の人多く和歌に詠む
        故に曰(い)ふ
       低檐(ていえん)雨は滴(しただ)る 寂寥(せきれう)の夜
       枕を欹(そばだて)て堪へず 相ひ待つ情(こころ)

   
0601雉子1.jpg                                        雉子 23.6.1 東京都清瀬市

     ほととぎすは夏の季節のよい景物
     風流を好む人の家々で愛でられる
     鶯の巣の中で春の羽根をつくろい
       万葉集に見えるので
       そのように云う
     卯の花の咲く垣根の外で明け方に鳴く
     お前は空遠く ひとひらの雲が行く路に友を呼び
     人は五月のころに それを和歌に詠む
       昔の人も今の人も多くが和歌に詠むので
       そのように言う
     低い軒先から雨の滴る寂しい夜
     枕をそばだてて一声を待っている それは堪えがたい思いだ

    
0601雉子2.jpg                                        雉子 23.6.1 東京都清瀬市


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