2011年2月21日

墨場必携:漢詩「春日作」

      
    
12梅白b赤.jpg                                        23.2.12 東京都清瀬市

   春日作(しゆんじつのさく)」 嵯峨天皇『経国集』

     閏是新正後
     陽春二月時
     庭蘭萌稚葉
     窓柳軽糸乱
     花色風初暖
     鶯声日漸遅
     春来傷節候
     幽興復煕煕

   閏(うるふ)は是れ新正(しんせい)の後(のち)
   陽春(やうしゆん) 二月(にぐわつ)の時
   庭蘭(ていらん) 稚葉(ちえふ)を萌(きざ)し
   窓柳(そうりう) 軽糸(けいし)を乱す
   花色(くわしよく) 風初めて暖かに
   鶯声(あうせい) 日に漸(やうや)く遅し
   春来たつて 節候(せつこう)を傷み
   幽興(いうきよう) 復(ま)た煕煕(きき)たり

     閏:陰暦時代、日数調整のために、同じ月を二回設ける年があった。
       その二回目の月。たとえば、十月の次に閏十月があった。
     新正:新年の正月     
     節候:季節の移り変わり。
     幽興:奥深くもの静かな趣。
     煕煕:やわらぎ楽しむさま。

    24サギ.jpg                                    23.2.24 東京都清瀬市柳瀬川

   閏月は新年にやって来た。
   従って、いつもの年でいえば今は二月のうららかな時節。
   庭の蘭(藤袴)は若葉をきざし、
   窓辺の柳は細くしなやかな枝を春風に揺らしている。
   花の色はようやく暖かな風をうけて、
   鶯の声も日ましにのどかになってくる。
   春が深まるにつれて、時節の過ぎ行くことに心も傷むが、
   今は奥深い自然の風興に心をなごませることにしよう。


    
19オカヨシガモ.jpg                                           23.2.19 東京都清瀬市


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