2011年2月17日

墨場必携:漢詩「梅花落」

      
    
12メジロ梅桃色4.jpg                                        23.2.12 東京都清瀬市柳瀬川

   梅花落     嵯峨天皇『文華秀麗集』

     鶊鳴梅院暖
     花落舞春風
     歴亂飄鋪地
     徘徊颺滿空
     狂香燻枕席
     散影度房櫳
     欲驗傷離苦
     應聞羌笛中

   鶊(うぐひす)鳴きて 梅院(ばいゐん)暖けく
   花落(ち)りて春風(しゆんぷう)に舞ふ
   歴乱(れきらん)飄(ひるがへ)りて 地(つち)に鋪(し)き
   徘徊(はいくわい)颺(あが)りて 空に満つ
   狂香 枕席(ちんせき)に燻(くゆ)り
   散る影房櫳(ばうろう)を度(わた)る
   欲驗傷離(しやうり)の苦しみを験(こころ)みまく欲すれば
   応に聞くべし羌笛(きやうてき)の中

     「梅花落」はもともと楽府横吹曲辞の一。笛の楽曲名。
      この詩は曲名を題に詠まれたもの。

    
18白梅.jpg                                           23.2.18 東京都清瀬市
   ウグイスが鳴いて 梅の花咲く庭は暖かく
   花が散って 春の風に舞う
   花は乱れ散り 風にひるがえって地に散り敷き
   あちらこちら高く舞い上がって 空に満ちている
   うかれ漂う香りは 寝床に燻り
   梅花の散る姿は れんじ窓を通って見える
   別れをいたむ辛さを知ろうとするならば
   羌(えびす)の吹く笛の曲(梅花落)に それを聞くべきである

    
16鴨4.jpg                                           23.2.16 東京都清瀬市



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