第12回 天来祭り

2018年11月25日

比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展の翌日は恒例の「天来祭り」。今年で12回目になります。毎年地元の「NPO法人・未来工房もちづき」のみなさんが、趣向をこらして計画をたて、すばらしい時間をプレゼントしてくださるのです。

 

今年は、天来記念館の門流の部屋で、書宗院選抜展が行われています。書宗院や全日本書芸文化院の先生方もおいでになり、賑やかに始まりました。

書宗院選抜展の作品の多くは臨書です。佐久市立近代美術館の臨書展はいわばコンクール。作品としての完成度や迫力をねらった意欲作が多いのですが、書宗院展の作品には、何十年にもわたり、古典を深く愛し、ご自身の世界を深めていらっしゃった先生方の現在の姿があらわれています。そこにあるのは、充実した、静かな世界。近代美術館へいらっしゃる方は、ちょっと足をのばしてはいかがでしょう。

 

続いて、書宗院副理事長の古谷春峰先生による講演です。比田井天来の生い立ちや書に対する姿勢など、わかりやすくお話くださいました。上の写真は「廻腕法から俯仰法へ」。ジェスチャーやジョークを交えての楽しいお話に、引き込まれてしまいました。(この日はダジャレが止まらなかった)

 

続いて、書道史の中の名品を実際に書いてくださいます。最初は地元、望月高校の小林彩翠先生による「甲骨文」の臨書です。細い先で軽やかに書かれて、おしゃれな作品になりました。高校生を指導しながら、ご自身の書も深めていらっしゃることがわかります。

 

書宗院参与理事の内田藍亭は「木簡」です。グイグイと力強い執筆です。過去の動画はこちら

 

書宗院常務理事の佐藤容齋先生の「天発神讖碑」。筆を三本固めた連筆(お手製)を使い、線の太さを調節しながらお書きになっています。なるほど!

 

地元で書を研究なさっている小林和史さん。「書譜」の臨書です。大らかでのびのびとした筆遣いです。

このほか、「金文」「泰山刻石」「礼器碑」「蘭亭序」「十七帖」「鄭羲下碑」「九成宮醴泉銘」「建中帖」の臨書が行われました

 

お昼は、臨書展ツアーの方々と書宗院の先生方と一緒に、地元の食材を使った美味しいお料理をいただきました。つやっつやの新米です。おかわりし放題! 蜜がたっぷり入ったりんごも美味です。地元の方々20名で準備してくださったそう。人数がとても多かったので大変だったと思います。ごちそうさまでした。

 

続いて「天来自然公園」へ。お天気に恵まれて、暖かい日でした。

 

これ、桜の苗木です。石碑の立っている場所から遊歩道にかけて植えられています。早く花が咲かないかな。

この後は天来生家の「生誕地碑(桑原翠邦先生書)」を見て、立科町にある光徳寺へ。

 

大きいお寺です。桑原翠邦先生の書や石碑がたくさん残されています。

 

襖に書かれた翠邦先生の書は、躍動感みなぎる迫力ある筆跡です。他にもたくさんあって、想像をはるかに超えた素晴らしさに、みなさん驚いていました。

 

「頌徳」と刻されています。もちろん桑原翠邦先生の書です。素朴で力強い隷書。

 

この後は、新幹線の時刻に合わせて佐久平駅まで送って下さいました。NPO法人未来工房もちづきの理事長、吉川徹さん、公園部会長上野昭久さんをはじめとするみなさん、心のこもったおもてなしをありがとうございました。

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書道