2008年12月18日

王羲之 知られざる名品

澄廉-想無悪帖s.jpg
今年は王羲之蘭亭序が大ブレークしましたね。
前に、蘭亭序・神龍半印本は、字がよく見えますが、かなり後世の模本だと書きました。
では、本当の名品はどこにあるのでしょう。




王羲之が生きていた当時から、羲之の書をお手本にして書を学びたい人がたくさんいました。所蔵者をだまして取り上げてしまった人がいたほどです。
そのうちに石に彫って拓本を採り、製本して流通させるようになりました。これが「法帖」です。
法帖といえば、淳化閣帖が有名ですが、今に伝わるものは、はっきり言ってあんまりよくないんです。
では、何がよいのかって?  よくぞ聞いてくださいました(聞いてない?  まあまあ、かたいことを言わないで)

澄清堂帖.jpg
澄清堂帖(ちょうせいどうじょう)って、なぞの法帖です。誰がいつ頃作ったのかさっぱりわかりません。でも、すごくいいのです。美しいでしょ? 王羲之の筆法を伝えています。
左の「紫藤花館本(しとうかかんぼん)」は、名前もきれいですね。「廉氏本(れんしぼん)」と「孫子本(そんしぼん)」は、昔、書学院出版部から発行しましたが、この「紫藤花館本」だけは、印刷の状態が悪くて複製できませんでした。でも、天来書院になってからは、内部で写真のレタッチができるようになったため、復元に成功。掲載することができるようになりました。

翰香大観.jpg
右の「大観帖第六巻かく場残本」も、昔書学院出版部で発行しました。帙入りの豪華本でした。ほかの「大観帖」と違い、すばらしいものです。
左の「翰香館法書」は、線のやわらかさや穏やかさが活かされた名帖です。

他では見ることができないこれら筆跡は、新刊「王羲之の書」に掲載されています。「双鉤填墨」の秘密(顕微鏡写真)も載っていますよ。ぜひご覧ください。

同じカテゴリの記事一覧