2008年10月21日

淡墨の作り方と宿墨

墨によるにじみの変化s.jpg書の展覧会に、にじみの美しい、淡い色の作品を見かけますね。美しいにじみを作るのはコツがいります。





液体の形で売られている墨の中には、専門家用の墨もあって、淡墨作品にも使われます。
液体墨を淡墨に 1.jpgこの墨はとっても濃いので、普通に使うときも少し薄めます。でも、淡墨作品となると、すごい水の量です。
液体墨を淡墨に 2.jpgこんなになるまで水を足します。そして書いてみましょう。

液体墨を淡墨に3.jpg実線のまわりににじみが生まれましたね。
これでもいいかもしれませんが、固形墨だとちょっと違います。

黄山松煙1.jpg硯にほんのわずかの水を垂らします。

黄山松煙2.jpg中国製の松煙墨「黄山松煙」という墨を摩ります。力を入れずにゆっくりと、ていねいに摩りましょう。

黄山松煙3.jpg摩り終わったら、なじませるように、指でさすります。書いてみると

黄山松煙4.jpgさっきの液体墨より、実線とにじみが際立ちましたね。では次は宿墨です。

宿墨1.jpgこれは、摩ってから3週間寝かせた墨です。普通だったら腐っちゃいますが、息ができるようにふたをずらして、涼しい所においておくんですって。暑い季節は無理です。
これで書いてみると

宿墨2.jpg
実線とにじみの差が激しくなりました。実線の輪郭が強くなり、あらあらしいにじみです。宿墨を好む作家もいますよ。
次に、宿墨と摩ったばかりの墨を混ぜてみましょう。

宿墨3.jpgこれで書いてみると

宿墨4.jpgにじみが薄くなって、実線の輪郭がさらにはっきりしましたね。にじみと実線のコントラストを楽しむ作品を書きたいときに使います。

おさらい
墨によるにじみの変化.jpgいろんな使い方によって、多彩な効果が生まれます。みなさんもやってみてくださいね。

同じカテゴリの記事一覧