作品と草稿 天来小品精英
作品を書くとき、できあがりのイメージをまとめるためや、字を間違えないために、草稿を作る作家は多いものです。
ビデオ「書-二十世紀の巨匠たち」では今井凌雪先生が、「書-現代作家の技法」では新井光風先生が草稿を作ってから作品を書いてくださいました。西川寧先生は、最初は鉛筆から始まって、精密に草稿を作られたそうです。
比田井天来も草稿を作りました。全国各地を遊歴したときも、必ず草稿を持って行ったそうです。たくさん作品を書くためのネタ帳も兼ねていたのでしょう。書学院には、膨大な量の草稿が残されています。
昭和56年12月、朝日生命ギャラリーで、これらの草稿を展示した「比田井天来小品展」が開催されました。そのときの図録が『天来小品精英』です。在庫が少々あったのでDMでご案内したところ、大きな反響をいただいています。
草稿と実際の作品を比べてみましょう。
これは書学院にある屏風です。いろいろな展覧会で展示しているので、ご存知の方も多いかもしれません。
これがその草稿です。ふーん、なるほど、と思いませんか? 手島右卿先生は、こんなふうにおっしゃっています。
三十年以上も前から、先生の書稿がたまらなく魅力ある作品の一群であるという印象はもっていたが、今南谷さんが菁華をすぐったという五百余点を、一枚一枚ゆっくりと鑑賞させてもらっているうちに、その感激は層一層と高まり、自分の鑑識眼が、往時においても相当のものであったことを知りえて嬉しい。
また、南谷の「ごあいさつ」には、こんなことが書いてあります。
書稿は画家のスケッチにあたるもので、作品として完成されたものではありませんが、それだけに却って創作にいたる動機や過程を如実に示し、また感動が端的に露出している点で、作品とは別の意味で貴重な資料といえます。また、最初に心からとびだしてきた書稿は、新鮮で意欲的であり、未完成の要素を含み、これからさまざまに発展させる可能性をもっています。
では、もう一つご覧にいれましょう。上の扁額は、長野県貞祥寺所蔵のもの、下は草稿です。
なーるほど、でしょ。
為書のある草稿もあります。。
柏野小学校って、どこにあるんでしょうね。そういえば、長野県天来記念館そばの望月高校にも「質実剛健」という作品が掛けられています。
「観松寮」ってどこなんでしょう。ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
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