2008年2月 8日

筆は穂の根元までおろすの?

筆の使い方って、先生によって違いますね。作家であれば、どういう使い方をしても勝手ですが、でも人に教える立場にある方なら、筆の個性を熟知していてほしいと思います。というのは、「筆墨硯紙のすべて」というビデオを作ったとき、意外に知られていないことがたくさんあることがわかったからなのです。

 

刷毛.jpg
前に、『墨』で、石川九楊さんが南谷の作品を「刷毛目の美学」と書いてくれました。私はかっとなって(ほかにもいろいろある)反論を書きましたが、刷毛と筆はまったく違うのだぞー。

これが刷毛の毛先です。毛の長さは長短さまざま、先が切れている毛もたくさんあります。それでいいんです。刷毛はもともと「塗る」ためのものなんですから。

でも書で使う「筆」は、これじゃあだめです。先端を切っていない毛を束ねたものでなければ、いい線は書けません。

学童用筆.jpg

ただ、廉価な筆、とくに学童用として売られている筆は、穂に短い毛がたくさん入っています。つまり、筆に不慣れな人にとって、毛が柔かいと書きにくいため、わざと先端のない短い毛を混ぜて腰を出している(かたくして)いるのです。

こういう筆は、根元までおろしてはいけません。

 
羊毛毛先.jpg

これこれ。これが専門家用の羊毛筆。人が作ったものですから、若干毛の長さの違いはありますが、すべて先端のある毛で作られています。もちろん、逆毛や短い毛が混ざっていることもありません。これなら根元までおろして大丈夫。

書における用具用材の研究って、ほんとに遅れていると思います。本に書かれていることも、うそが多い。ちゃんと科学的な根拠をもっている事実だけを書いてくださいねっ(怒)。

なお、明日と明後日は、朝から深夜まで外出なのでブログが書けません。 居酒屋探検隊は11日(月)の書き込みになりますので、よろしく。

 

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