歳末のクイズ これは何という字?

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何とも不思議な1字です。いったい何という字でしょうか。落款もなぜか梧竹じゃなくて、梧の1字だけ。大掃除が終わったら、こたつに入ってアタマをひねってみてはいかがでしょうか。






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梧竹さんという人は不思議な方です。描いた文字も不思議なのは当たり前かも知れません。

律儀で几帳面で融通の気かない頑固爺さんで、ずいぶんとアバウトでいい加減、天真爛漫で、細かなところまで気配りがとどく、目立ちたがりで、おしゃれで、シャイでと、どうもよくわからない。

むつかしくいうと、二律背反を見事にアウヘーベンして調和ある生き方を生きたとでもいえばいいのでしょうか。いや、そんなの関係ないというのが中っているのかも。しかし、律儀な梧竹もアバウトな梧竹も、どちらも梧竹で、何事にも正直に真面目に梧竹がとり組んでいるのはまちがいなく確かだ、と私は観測しています。

このワケの分からない文字だって、梧竹さんは面白がって愉しみながら、真面目に真剣に書いている。真面目にといっても、肩をいからせてありったけの力をこめてというのではなく、余裕がある。梧竹さんの書をみていると、一生懸命に必死で書いたというようなのはありません。いつも豊かでたっぷりと余裕をみせている。どんなときも、ふざけたところとか、下品なところとかいういやしい影が文字にはありません。

さて、この文字をすこしずつデフォルメ、ふつうにいうデフォルメとは逆方向で、をやってみましょう。なんと、正解は「竹」の字でした。落款が「梧」1字だったのは当たり前で、合わせて「梧竹」というわけです。長いタテ画に数カ所の断筆があるのも、計画的に折り目を付けて、竹の節をつくったのでした。すごい知能犯ですね。第1画のウッタテのところと、最終のタテ画を交差させるなんて、梧竹さんのアタマにはどんなコンピュータが組み込んであったのでしょうか。大まじめでこんな奇想天外の曲芸をやってのけるのも梧竹さんならではの仕事です。

竹1字s.jpgこの梧と竹、どちらを先に書いたのだろう、などと考える人もいるでしょう。この幅には関防印がないから、もともとは4幅対とか6幅対とかの大作で、その落款部分だけが残ったのではないだろうか、などと空想をふくらませて愉しむ人もいるかもしれません。



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